「ヤクザと憲法」が面白い

 東海テレビが3月30日にオンエアしたドキュメンタリー番組、「ヤクザと憲法」が局地的な話題になっている。

暴力団対策法の施行から20年を経た今、「ヤクザたちの暮らしはどうなっているのか」というテーマで、組事務所内に「カメラを入れてみた」という。

 

 

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取材前の取り決めとして、

・謝礼金は支払わない
・収録テープ等を事前に見せない
・顔へのモザイクは原則かけない

という前提で取材を行った。

大阪府堺市の住宅街の一角にある組事務所を訪ねると、いかつい風貌の男たち数名が高校野球をテレビで見ている場面から番組は始まる。茶封筒に数万円ずつの現金をつめている一人に「それは何ですか?」と尋ねると「お金や。シノギ。高校野球」との回答。

 階上の部屋に上がると、広々とした畳の部屋に、衣類が整頓されて並べられ、エレクターの棚には刑務所の差し入れで貰った書籍類が整然と並べられている。

「最後の博徒」といったいかにもヤクザな書籍に交じり「犬と私の10の約束」といった本も並んでいる。「刑務所の中にいても癒やしは必要」だそうで、かわいらしい動物を見たりすると心が和むらしい。

部屋の片隅にはバーベキューに使うキャンプ用品があったり、昼飯時には若い組員が豚肉のしょうが焼きを作ってみんなで食べたり、おっさんたちだけの奇妙な共同生活の模様を淡々としたタッチで映し出す。

番組後半には山口組の元顧問弁護士として有名な山之内幸夫氏も登場。暴力団員たちを社会から排除することだけでは、根本的な問題の解決にはならないという主張を展開する。

その主張の是非はともかく、ヤクザだって人間なんだ、彼らにも彼らの暮らしがあるという当たり前の事実に気づかせてくれるこの作品は素晴らしい。というか、よくこんなの撮れたなぁと素直に感心してしまう。

東京のテレビ局では決してオンエアできないだろう。公式なものかどうかは定かではないが、Youtubeで全編が公開されている。